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コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

第94話 勉強の秋
先月、ある目的で北大阪にある飲食店に食事に行きました。
飲食店としてとても繁盛しているのですが、そのほかにもすぐ近くに関連商品の物販専門店を
出店し、それをもとに大手百貨店にも物販店として出店を果たしました。
当店として今後の展開として考えている理想の形です。
そこで、その店の経営者様と話をしているうちに、今後の事業展開として『物販』というのを考えるようになりました。
今の店内で売ることにとらわれず、出店も含めてもっと広い視野で考えよう、と。


思い立ったら即行動です。
まず2日連続でスタッフとともに勉強ツアーをしてきました。


今回のテーマは『とんかつ+α』です。
基本は前からブログでも書いているように「物販」です。
大きなくくりでの「何を売るか」をまず決めるため、『α』とは何かに探りを入れるのが目的です。



初日は京都にいってきました。
第1の目的はとんかつ専門店が経営しているというアイスクリーム専門店です。
その両方の店をチェックして、その後、女性誌などで注目されているアイスクリーム店、
東京や大阪に出店を果たしたスィーツ専門店、紅茶専門店、
そして私がもっとも影響を受けたとんかつチェーン店の本店に久々にいってきました。

1軒ごとにスタッフと商品や客層、店内の様子などについて細かくチェックして、
その店の売りと売る相手について確認しながら、さらにもっと売上を上げるにはどうするか、
など意見を交換しました。
そうしているうちに頭の中ではアイスクリーム専門店開業に向けてのシナリオが着々とイメージ化されていきます。
帰りの電車ではどんなアイスクリームを作ろうか、どうやって売ろうか、そんなことについて
ずっと語り合っていました。



そして2日目は和歌山。
友人の山添社長が経営するイタリア料理店とその隣にあるケーキ店を視察しました。

ちょうどケーキ店が地元百貨店の物産展に出店している最中ということで見に行きましたが、
一番商品のチーズケーキはお昼1時の時点ですでに予定本数を完売。
すさまじいまでの販売力をまざまざと見せつけられました。


その後、店に行って彼の話をいろいろと聴いているうちに、ふと気付きました。

彼がケーキ店を始めたのは、イタリア料理店がこれ以上売上を伸ばすには
何らかの形で次の店を出すよりほかないというところまで大繁盛してからのことです。
そしてイタリア料理店で出していたケーキをそのまますぐ隣に出した、ということです。


私の場合はまだまだその域ではありません。
まだ売上が足りないから、それを補うために別のことを始める。
それでは上手く行くはずがありません。


しかも、彼の店でさえも経営者自身がどっぷりと現場に入り、真剣に商品とお客様とスタッフに
向き合あってようやく利益が出る体質にはなったという事実です。


その事実を考えると、まだまだ時期尚早。
もっともっととんかつ専門店としてやるべきことをやり尽くすことが先決であるということに
気付かされました。


それでも売上と利益は伸ばさねばなりません。
人件費や家賃といった負担を増やさずにそれを実現する方法として、
彼が勧めたのはネットを使った販売でした。

山添社長の店もパスタとケーキを売るネット店は実店舗と変わらない売上を残しています。
利益でいうと両店舗を上回っています。


そうしてネットショップを開設するためのプロセスをいろいろ教えられている時に、
ネットショップの責任者をしている馬締専務がいったのは、
「ホームページをつくるのを人に頼む人も多いようですけど、絶対に自分でやるのがいいですよ。
スピードもですが、全てにおいて一から立ち上げるというのが大事ですよ」

販売が苦手だった彼がネットショップを立ち上げ、何を売るのか、どう売るのかさえも分からずに、
それでも1人でここまで成し遂げました。
1年前はこと営業に関しては社長に頼りきっていて弱々しい感じだったのに、
今では自信に満ち溢れてとてもたくましくなっていました。




開業当初に私が経営指導をしていたときの彼らはまるで学生サークルのような集団でしたが、
見事に実業家集団に変わっていました。

でっかい目標を立てながらも、極めて慎重にできることを諦めずにずっと続けてきたのが、
今の彼らの実績です。


帰りの電車ではとんかつ店としてできることについて、スタッフと語り合っていました。
1日前とは大きくがらりと考え方が変わりました。


だから勉強って止められないのです。



私の指導のおかげ(?)で成長した彼らを見るのも、本当にいい刺激になりました。
ありがとう!!!!!
# by tonkatsuyutaka | 2007-10-06 11:30
第93話 現役を続けるとは筋肉を鍛え続けるということ
第92話で宣言した通り、POPを書きました

A3サイズの紙に向かい、以前通り下書きも一切なしで、いろいろなレイアウトを思い浮かべて、
自称“ポスカの魔術師”の手はまるで勝手に動くかのごとくスラスラと・・・


の、はずでした。


しかし・・・

実際には思ったようにポスカを持った手が動きません。
全くといっていいほど思い通りにならない。
というより、その思いそのものが出て来ないのです。



以前ならレイアウト、文字体、文字のサイズ、文字の色、文字装飾の仕方といったものが
ポスカ=マジックを握って紙に向かった瞬間に“パッ”と目の前に広がりました。

自分が書こうとしているPOPそのものがイメージとして目の前に鮮明に映し出されるのです。
それをポスカでなぞれば良かったのです。


ポスカの使い方は以前と比べて衰えていませんでした。
自分で言うのも変ですが、とてもPOPらしい上手な文字です。

POPに書く言葉=コピーもちゃんと出てきます。

文字が上手で、言葉がしっかりしている。
普通ならそれで十分なのかもしれませんが、私はPOPのプロを自認していました。
少なくとも1枚のPOPを作品として捉えた場合、全くプロのものではありませんでした。



そこでふと思いつきました。

よくプロ野球のOBがオフシーズンに集まって試合をしています。
つい2~3年前まで現役だった人もいます。
みんな元大スター選手ばかりです。
それなのに、体型からフォームから見る影もなくなっている人ばかりです。
稀に村田兆治さんみたいに50を過ぎてなお140KMのボールを投げる人います。
しかしながらほとんどの元スター選手があり得ないほど悲惨です。
少なくとも15年以上もプロ野球で活躍していたスター選手が、なんで2年やそこらで高校生よりも下手くそになるのか・・・


ちなみにサッカーの三浦知良選手は私と同い年です。
日本のトッププロリーグの中であれだけ走り回れる41歳がいるでしょうか?


そこに「プロの現役」としての底力を感じます。



我々は全員、ある職業においてプロフェッショナルです。
カズはサッカーのプロであり、私はとんかつ屋のプロです。


プロとして自分を高いレベルに追い込み、日々鍛えています。
もともとの運動能力以前に、プロとしての鍛錬が決定的に違います。


5年程前にたまたまバスケットボールで遊ぶ機会がありました。
第4話で書いたように、中学生の時は狂ったようにバスケットボールをしていました。
そのつもりでドリブルをしましたが、いきなり突き指です。
シュートも全然ダメ、中学生の時にできたことが何一つできませんでした。



スポーツにおいても、遊びにおいても、仕事においても、
現役の筋肉というのが存在して、それがしばらく離れると見事に崩れ去るのが原因だと思います。


私の手書きPOPの筋肉は見事に崩れていました。
しかし飲食店経営者として、飲食店マーケッターとしての筋肉はどんどん鍛えられています。


何もかもの筋肉をつけておくことは基本的に不可能です。
今、自分に必要と思われる筋肉をしっかり鍛えていくこと。
それがその道のプロフェッショナルとしての正しい方向性であると思います。


あれだけすごかったPOPを書けなくても、意外に悔しくない自分にそんなことを思いました。



別にバスケットボールができなくなってもいいやん。
ポスカでPOPを書けなくてもいいやん。
とんかつを売らせれば日本一の商品構成、メニューブック、チラシをつくれる事が
今の私にとっては「プロの現役」なんやから。
# by tonkatsuyutaka | 2007-10-04 01:01
第92話 プリンターが壊れて気付いたこと
店のA3サイズのプリンターが突然動かなくなりました。
店外に貼るPOPを印刷しようとしたのですが、ずっと電源ランプが点滅したまま。
電源を切っても、コンセントを引っこ抜いてしばらく置いても、
再度電源を入れなおしたら同じ状態です。



月が変わって新たなPOPやメニューを作るのにプリンターがないとどうにもなりません。
A4サイズのプリンターは自宅にあるので、メニューの方はなんとかまかなえますが、
外に貼ろうとしていたPOPがプリントアウトできません。


メーカーに電話をしたら修理は最低でも2週間かかるとのこと。

困ったなぁと思っていました。



しかしよく考えてみると、パソコンでPOPを作り始めたのはつい最近のことです。
家電量販店にいた時はパソコンなんて使えなかったのでひたすら手書きです。
船井総研の時も支援先の店で手書きPOPを作っていました。


そうなんです。

私は手書きPOPがすごく得意なのです。
同文舘出版から共著で『売り場演出の極意』という本を出させていただきましたが、
その中のPOPと陳列については私が書いています。



自分で言うのもなんですが、とても上手いのです。


それがいつのまにやらパソコンに慣れてしまい、パソコンじゃないといけないように勝手に
思い込んでいました。



もちろんパソコンとプリンターは必要です。
でもそれが全てではありません。
きちんとした活字ではなく、思い切り躍動感のある手書きPOPも中にはあっても良いはずです。


今月からは何かにつけてはちゃめちゃに行こうと決めました。
自分が作り上げたイメージで、メニューで使うフォントも渋くスッキリしたものにしていましたが、
持ち帰り訴求のPOPくらいはめいっぱい弾けて、楽しげなものにしちゃえばいい。

家に置いてあるマジックのセットを取り出してにんまりしていました。



結局、経営者にとって自分を制限しているのは自分です。

仕組みも仕掛けも含めて、自分で勝手にセーブしている自分に気がつきました。



お客様を楽しませるためには自分がまず楽しむ。
分かっちゃいるけどできていなかったこと。



まずは大得意のPOPから始めてみます。
なんでも実践せるためにやっているお店ですから・・・
# by tonkatsuyutaka | 2007-10-02 11:50
第91話 目標設定はでっかくしなきゃ。
9月も残りあと僅か。
3連休が2週連続あり、土曜日スタート日曜終わりという最高に暦に恵まれた1ヶ月。

しかし、最初の土日があまり良くなく、そのままズルズル・・・
最後の3連休でかなり巻き返したものの、その後の平日が振るわず。
まるで阪神タイガースのような感じで、予算には僅かに届かないところで着地となりそうです。

それでも昨対比は180%。
昨年が悪すぎたといえばそれまでですが、なんとかかんとかギリギリで予算と闘っています。



ところで私が闘っている予算ですが、これはもともと自分で設定したものです。
目標は予算より20%増やしています。
しかしそもそも何を根拠に目標や予算を決めているんだろう・・・



昨日、出資者の友人と夜食事をしながら話をしていてふと我に返らされました。


毎月クリアできることを目標にした予算を立てるのか?
最低でも利益が出ることを目標にした予算を立てるのか?
経営が成長曲線に乗ることを目標にした予算を立てるのか?
従業員、家族を幸せにできることを目標にした予算を立てるのか?
本来自分がやりたかったことを達成させることを目標に予算を立てるのか?
それとも、勢いではちゃめちゃな目標を予算として立てるのか?



どのやり方を選ぼうと経営者の自由です。
しかし目標や予算が小さくまとまると、そこで止まります。
成長曲線に乗るといっても、その曲線があまりにも緩やかなら止まっているのも同じです。


そう考えると、我々のような小さな会社は今までやったことのないような、
はちゃめちゃな数字に挑戦しつづけるべきであることを感じました。


我々は上場企業ではないのです。
本屋にいくと経営計画の立て方とか、キレイ事ばかりの本がいっぱいです。
そんな本を見ると、上場企業の常識に感化されてしまいます。



アホな計画を立てて、そこにがむしゃらになって構わないのです。
経営者の目標が「イイ車に乗る」とか「旨いものをたらふく食べる」とか「海外旅行に行く」とか
そんな低次元のことでもいいのです。

逆に小さいうちはそんなのがいいのです!



勉強の仕方を間違えると、変に賢く小っちゃくまとまってしまいます。



10月は暦が不利?
天候が不順?
人が入れ替わる?


それがどうした!

そんなの関係ね~!

やりたいことやろうと始めてるんだから、やりたいことができるまではガンガン行くのみ!



昨日、友人と飲みながらそんな思いに強くなりました。

ありがとうございます!



オッパッピ~???
# by tonkatsuyutaka | 2007-09-30 11:14
第90話 スタッフからの提案は日誌の中に・・・
第85話『他業種の経営者から学ぶ!学ぶ!学ぶ!』で西村社長より教えていただいた
スタッフ日誌。
毎日、スタッフがそれぞれ自分の言葉で自分の感じたことを書いてくれています。

先日、その中にスタッフの星山佳慎君から素晴らしい提案がありました。



今週から新たな販促企画を始めています。
プレゼントするのはとんかつ豊かを一気に有名にした4200円の「イベリコ豚のとんかつ膳」です。


企画の目的は平日の集客アップとお客様に予約をしてからきていただくことです。
さらには予約時にオーダーをお聞きすること。
これらのことができると、ご来店時間に合わせて前もってパン粉付けができるので
お客様をお待たせせずに済みます。
ご飯もより炊きたてを提供できますし、


全くの空席から突然満席になることが多い平日に、
きちんとお客様をお迎えできる体制をとっておきたい、
それが最終的な目的です。



しかしお客様にとって予約するというのは面倒です。
しかもオーダーまで決めなければいけないのは本当に手間です。

ゆえに、そのお返しとしては中途半端な値引きではなく、思い切ってイベリコ豚のとんかつ膳を
プレゼントさせていただくというのが企画の目玉になりました。


とてもややこしい企画です。
大人2名以上での利用や前日までの予約利用、平日限定、3ヶ月で2回以上利用、
エントリーカードは平日に食事をしていただいた方に限り配布する等など、
さらに細かい条件はいろいろつきます。

しかし企画としては自信満々です。


説明さえしっかりできれば大丈夫です。



私は会計時にお客様にしっかりと説明するように指示を出しました。

ところが、会計時にレジでその説明をするとお客様が話を聞いてくれないというのです。
やはり立ったままというのもあるし、帰りたいという心境になっているからでしょうか。
「はい、はい。分かりました、分かりました。」
そんな風にして持っていく人が多かったそうです。

配布初日、私は不在でした。
スタッフに任せていたのですが、どうも上手く入っていないようです。


ではどのタイミングが良いのか?

星山君の書いた日誌には
「食事を終えて最後にお出しするデザートのときに持っていくのがいいと思います」
と書かれていました。

現在、平日限定で黒豆ゼリーを提供しています。

そのタイミングならお客様もゆっくり話を聴いてくれるのでは、というのが彼の提案でした。


翌日、早速私がやってみました。
お膳を下げて、メニューに書かれていないプチサイズのゼリーをお出しすると、
お客様は「何これ?美味しそう!」といって大喜びされます。
「黒豆のゼリーですよ」と説明すると、「わぁ~!!!」と歓声をあげる方もいらっしゃいます。


そして一口食べられたくらいのタイミングで
「実は今回・・・」
と説明を始めると、みなさん目を輝かして聞いてくださいました。
「うわ!4200円もするやん!」ともう一度メニューを開いてと確認する方、
「次いつ来る?」と相談を始めるグループ、
「予約しないと損しますね」とシンプルに言ってくれる方・・・



販促企画というのはお客様も店も楽しく盛り上がらないと意味はありません。
渡すタイミングひとつでその楽しさが大いに変わってしまいます。


今まで通り、レジでチラシを配布すればいいと考えていた私と、
もっと喜んでいただくタイミングを一瞬で発見したスタッフ。
それをきちんとつないでくれたスタッフ日誌。



経営という観点から見ると、ほんの小さなことかもしれませんが、
大きな進化が始まったような気がします。
# by tonkatsuyutaka | 2007-09-29 10:16