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コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

第95話 史上最高の売上よりも嬉しかったこと
昨日、当店はじまって以来の売上最高記録を樹立しました。
売上金額はもちろん、客数、売上商品点数も過去最高。
過去最高の3冠王です。


忙しくなりそうな予感はありました。
前日までの予約は少なかったものの、当日の営業開始前までに受け付けた予約は全部で6件。


開店前から行列ができていて、その行列のお客様だけで満席。
さらにテイクアウトの注文も続々と入ります。
4200円の「イベリコ豚のロースかつ」や4800円の「特撰ロースかつ3種盛り」などの
高単価商品のオーダーに加えて、ビールやサイドメニューのオーダーも順調に入ります。


その後も行列は続き、一時は6組14名まで伸びて、1時間待ちの状態。
それでもお断りした8名の団体を除いて、全員にお食事をしていただくことができました。



もちろん、サービスが行き届いたとは決していえません。
提供には最大45分かかったお客様もいらっしゃいます。


しかし、とんかつがまったく出ていない席を回りながらも、
私はキッチンに対して全く「イライラ」することがありませんでした。


それはキッチンのスタッフを最高に信頼しきっていたからです。
現在の店最高の実力を思う存分発揮しての結果だからです。
それは私そのものの実力と一致しています。
「第70話 反比例を比例に変える」で書いたときの状況とは全く違います。


だから表現は変かもしれませんが“堂々と”提供が遅くなっていることを謝ることができました。



昨日のキッチンリーダーは何度もこのブログに登場している阪大生の星山佳慎君です。

作業速度、正確性に加えて、一歩先を読んでの動きは店でナンバー1のスタッフです。
ただし今までそれは「自ら動く」ことにだけ使われていました。
しかしここ最近は指示を出して「人を動かす」ことができるようになりました。


キッチンからは星山君が他のスタッフに指示を出している声が聞こえてきます。
それが実に的確です。
だから私はキッチン内をのぞく必要もなく、めいっぱいホールサービスに集中できました。



本来は平日限定にしていたお一人様7500円のコースまで私の判断で予約を聞いていました。
食器も食材も調理方法も盛り付けも、全てがレギュラー商品とは異なるため、
完全にオペレーションが狂います。

まだまだ満席で次々にオーダーが入る中で、星山君はそれさえもそつなくきちんとスタッフに
指示を出しながら、完璧な商品を作り上げてくれました。


そして最後の最後までキッチンの集中力は途切れることはありませんでした。
それはキッチンのみんなが星山君の鬼気迫る集中力を見ていたからだと思います。


お客様が全員帰られて、売上を読み上げた時は全員で歓声を上げて拍手をしました。
私は星山君に近寄り、力強く握手を交わしました。


昨日の実績は彼がいなければ無理だったと思います。
それほどまでに彼は急成長をとげました。
それがそのまま店の急成長につながっています。



売上というのは水物です。
しかしスタッフの実力はぶれません。


昨日のとんかつ豊かは、きっと時間あたりの席売上で考えると日本一レベルだったと思います。
18歳2人とそれを率いてくれた20歳の星山君。
この阪大トリオがそんな偉業を成し遂げました。


うず高く積みあげられた食器を前にして、スタッフ2人に対して片付けの指示を出す星山君。
疲れきっているはずなのに、みんながテキパキと動いています。


「一体化している・・・」
私は思わず身震いをしてしまいました。


売上が最高だったことよりも、
はるかに嬉しくて嬉しくてたまらない一日でした。
by tonkatsuyutaka | 2007-10-08 06:51
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