コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

第114話 販売促進の極意はシンプルに考えること!
店の2階に事務所として部屋を借りています。
普通のアパートの1室で、キッチン1部屋と6畳が2部屋です。
キッチンにはキャベツスライス専用の業務用の巨大なシンクがあり、
中央の6畳間は冷蔵庫をずらりと並べ、また春~秋にかけては食材が傷まないようにエアコンをつけっぱなしにして14℃を維持できるような自作保冷庫などもあります。
そして店の入り口に面した部屋にいわゆる事務所として機能する部屋があり、私がパソコンでいろいろな集計をしたり、スタッフが着替えをしたりするスペースになっています。

その部屋の窓に近い所に私のデスクはあります。
そこにいると店に出入りするお客様や通りを歩いている人の声がとてもよく聞こえます。


そこで最近、よく耳にする声があります。
それは
「うわぁ、この店すごいたくさんテレビとか出てる~」
という声です。


実は店の隣にある絶品オムライスが有名な洋食屋さんが先月半ばにテレビに出られました。
私の店も昨年の年末に出たことがある関西ではかなり有名な情報番組です。
私の店の時もそうだったのですが、やはりお隣様も大反響がありました。
テレビというのは地元だけでなくかなり遠くから人が動きます。
またそうして動く人は、常にいろいろなところに動き続けています。

そこで、テレビをご覧になってお隣の洋食屋さんに来られたお客様に、自店のアピールをしようと考えました。


私は元来が凝り性で、いろいろなことを深く考えすぎて、いじくりすぎて、結果的に上手く伝わらないということが多々あります。
今回はそうしたことがないようにきわめてシンプルにA3サイズの紙を4つに区切り、
「読売テレビ “なるとも”に出演しました!」
「毎日放送 “せやねん”に出演しました!」
「料理情報誌 “あまから手帖”に掲載されました!」
「ビジネス情報誌“ゲイナー”に掲載されました!」

という風に書いたPOPを、外に出してあるメニュー看板の上に設置しました。
そしてそこに店のパンフレットもそえておきました。


2階の部屋で聞いていると、洋食屋さんから出てきた雰囲気のお客様が
「あれ、ここも“せやねん”に出てるんやて。今度来てみよか」
「“なるとも”まで出てるんや。おいしいんやろな」
そんな会話が聞こえてきます。
全商品のラインアップと一品ごとの価値と価格を細かく記載したパンフレットは
毎日20枚近く減っていきます。



お隣様の絶品オムライスが私の店の新たなお客様候補をたくさん連れてきてくれたのです。
本当にありがたい話です。



販売促進というのは、まずは誰に何をどうやって伝えるかです。
本当に通りすがりの方に伝えるのと、目的をもってその場にいる方に伝えるのとでは、
伝え方も伝える内容も当然変わります。

そして伝えるだけではなく、売り上げに結びつけるまでやるのが販売促進です。
売り上げに結び付けられるだけのパンフレットなりの媒体まで手に取っていただいて、
はじめて一定の役割を果たすことになります。



お隣の大繁盛が続く中、当店もここ1週間で急ににぎやかになってきました。
絶品オムライスに負けないように、商品の品質向上にますます磨きをかけようと思っています。
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# by tonkatsuyutaka | 2007-11-04 16:11
第113話 賞味期限切れ?
今、世の中で一番の流行は賞味期限切れ、消費期限切れ、またはその改ざん・・・
世の流れというものは怖いもので、わが店の学生スタッフの皆さんもあらゆる食材の期限表示に
とても敏感になっています。
それはとてもありがたい話です。


確かにメーカーの姿勢として問われると赤福のやり方はやってはいけないことです。
しかし30年以上もそのやり方で1件の事故もなかったことを考えると、
そもそも表示自体に問題があるのでは?と思わざるを得ません。
もし表示してもいい消費期限が2日ではなく5日なら・・・
そんな風に思ってしまいました。


当店の食材は基本的に無添加ですので、すべてにおいて“足の早い“食材ばかりです。
ところが、ある食材のメーカー担当の方に聞くと、この表示から3日は全く問題ないのですが・・・
といわれました。
通常の消費期限が1週間程度の食材が店に2日後に入ってきたらあと5日しか持たない。
しかしメーカーのテストではあと8日は持つことがわかっている・・・
仕入計画から廃棄ロスまで含めると大きなリスクを背負っています。


しかし本当の問題点は未開封品の消費期限ではなく、開封後の問題の方が大きいはず。
1年もつ瓶詰めの食材も表示を見ると「開封後は要冷蔵の上、早めにお召し上がりください」と
あります。
早目というのは2~3日のことを言います。


人には視覚、嗅覚、味覚という感覚機能が付いています。
どんなものでもある程度はその3感で食べていいかどうかの判断はできるはずです。


飲食店や食品メーカー、食料品スーパーには販売する責任があります。
お客様の安全と安心は何があっても絶対に守らねばなりません。
それは消費期限の問題だけではなく、扱い方のほうが大きく影響します。
どんなに新鮮な食材だって、炎天下に放置してしまえばあっという間に傷みます。
でも消費期限は守られている・・・


デジタル化できる部分とアナログの部分とのはざまで、全く問題のない食材が次々に廃棄され、
本当は危ないものを口にしているかもしれない。
そんなことをふと考えてしまいました。





関西で赤福を売っていない土産物売り場は、まるで野菜コーナーがないスーパーマーケットの
ようです。
誰も健康的被害を受けていない今回の事件の被害者は、赤福を買えなくなった消費者なのかも
しれません。


お客様に健康的、身体的な被害を負わせないということは当然のことながら、
食べたいのに食べられないというようなことにならないように、
スタッフには表示のチェックと色、匂い、味のチェックを徹底しようと思いました。



ちなみに先日は“賞味期限”が切れた温泉玉子が20個発生しました。
スタッフに「持って帰る?」と聞くと大喜びです。
「一応は今日までになってるからね。」というと「そんなの全く気にしません!」・・・


その日、私は家に帰って久しぶりにウスターソースを使いました。
消費期限を見ると“1998年5月  開封後はお早めに”!!!!
思わず「うわぁ~すげ~」とうなってしまいました。
前に使ったのはいつだろう、3年は経ってるよな。
全く気にすることもなく、普通に美味しく頂きました。
まだ2/3くらい残っています。
これ使い切るのは2030年くらいか・・・+
その時は60歳になってるんだ・・・


妙に感慨深い食事になりました。
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# by tonkatsuyutaka | 2007-11-03 17:15
第112話 ネット出店と実店舗出店は同じだ!と気づきました・・・
再オープンして1年半、ずっと現場の先頭を張ってきましたが、
ついに待望の社員志望である唐木侑介君がその実力を発揮し始めました。

私は今後、出来る限り現場監督業を彼に任せ、
プロデュース業に徹して会社の売上アップに注力したいと思っています。

そこでまずは手っ取り早く、ネット販売をはじめようと思いました。


ネット通販については、やろうと思えばいつでもはじめられるし、そのうちやろう・・・
そんな気持ちでのんきに構えていました。
ゆえに、なかなかきっかけがつかめずにいたのです。


9月に開催された同文舘出版様の出版会議の際に手土産としてとんかつを持っていった
ところ、参加者のほとんどが「美味しい」といいながら笑顔で食べている中で、
ただひとりだけ不機嫌な顔が・・・
それは同文舘出版“鬼の編集部長”こと古市達彦さんでした。
彼はニコリともせず食べながら「なぜ、これだけ旨いものをネットで売らんのだ!」と怒るような
声で言いました。
そして続けて「本を送るからすぐにはじめなさいよ!」

その2日後には約束どおり“はじめよう!ドロップシッピング”というネット通販のノウハウ本が
送られてきました。
確かに、ここに書かれている内容ならすぐにでもできそうです。
そこで唐木君も巻き込みながら、ネット通販をはじめる決意をしたのです。


が、今までアマゾンくらいでしかネットで買い物をした経験はありません。
そこで、楽天市場でチーズケーキ部門の上位を突っ走る”シエスタ・アルトロ”の馬締専務に
話を聞いたところ、思っていた以上に大変な様子。

費用についても思っていた以上にかかりそうです。



手軽に簡単に儲けられる・・・
私がネット通販についてあまりに知らないがゆえに思い込んでいたイメージでした。


そこで考え方を完全に切り換え、新店舗を出店するつもりで取り掛かることにしました。
そうするとイメージはとてもつかみやすく、色々なことが理解できました。


■出店場所
人通りの多い繁華街は家賃が高いのと同じで、有名なショッピングサイトの使用料は高い。

■店舗内装
客層のイメージに合わせた内装デザインと同じで、WEBデザインによって客層まで変わる。

■商品の見せ方
盛り付けの方法や使用する食器と同じように、梱包の方法や梱包素材で商品価値が変わる。

■販売促進
売上アップの手段としてチラシやDMを打つのと同じで、バナー広告なりメール配信などの
販売促進策は必要。

■商売が軌道に乗る時期
店をオープンさせても浸透するまではなかなか売上に結びつかないのと同じで、
ネット上でも売れるまでには時間がかかる。



おもに立ち上げだけを考えても、店を出すのとまったく同じです。
それ以上に、配送業者や品質管理、支払方法などを考えるとさらに煩雑です。


私は完全にネットのことをなめていたことが良く分かりました。
そして、焦らずにじっくりと構えてやらなければならいということがよく分かりましたし、

逆に、ネット上の店がどこまでマーケティングについてこだわっているかを考えると、
徹すれば意外に早く大きな売上に辿り着けるかもしれません。
売り方ひとつで売上を大きく変えることが可能なわけで、そう思うととても楽しくなってきました。



そんなわけでしばらくとんかつ豊かネット店の立ち上げに集中していきたいと思っています。



ちなみに“シエスタ・アルトロ”のチーズケーキは楽天市場全体で
あのビリーズブートキャンプを抑えて1位になったことがあるそうです。
その話を最初に聞いたときは「へ~」と思っただけだったのですが、今思うと凄すぎです!!!
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# by tonkatsuyutaka | 2007-11-02 19:52
第111話 スーパー学生スタッフ“ほっしゃん”から学んだこと~その2~
昨日のブログではほっしゃんこと星山佳慎君の素晴らしい面を紹介しました。
しかし、これだけ素晴らしい人材でも、私との関係は良好ではありませんでした。


第8話を書いた時には気づいてなかったことです。

私は“肩書き”だけで、彼に大いなる期待を勝手にしました。
しかし星山君はほんの半年前まで四国の田舎でのんびり過ごす高校生でした。
実質、初めての仕事。
しかも何より本分は大学生です。
星山君にとっては勝手に期待されても関係のない話です・・・


しかし私はそのことに気づかず、ダイヤの原石を磨いてやる~と息巻いていました。

「お前やったらここまでできるはずやろ。ちゃんとやれや!」
「お前は仕事をなめてるからいつまでたっても上達せえへんねん!」
「星山ぁ!お前ええ加減にせえよ!何べん同じこといわせんねん!ふざけんな!」

営業中にこんな罵倒されるのは何人もいるスタッフの中で星山君ひとりです。
一緒に入っていた同じ年のスタッフが「あそこまで言わなくてもいいんじゃないですか」と
苦言を呈すほどでした。

ただし私は星山君が憎くてやっているのではなく、あくまで星山君を鍛えようと必死でした。


星山君にとってはめちゃめちゃきつかったと思います。

軽い気持ちで入ったアルバイト。
しかし、ここまでやることなすことコケ下ろされて、しかも人格にまで介入してくる。


そんな状態でお互いの信頼関係が気づけるはずがありません。


それでも星山君はちゃんと喰らいついてきました。
実力がみるみるうちについてきます。
数ヶ月するとほぼ私の期待に近い状態になり、私は星山君を信頼するようになりました。

しかし私は星山君からの信頼は得られませんでした。


その後、続々と入った新人アルバイトは、学生アルバイトできっちり仕事をこなし、
私の信頼を得ている星山君を頼りにします。
星山君は店に対して大きな影響力を持ち始めました。


そんな星山君が長期休みなどのルールを、嘘やごまかしで破るようになりました。
それでも私は認めました。
しかしそれを見ていたほかのスタッフも同じようなことを始めました。






そんな私が星山君から学んだ一番大切なこと。

それは怒鳴ったり人格にまで介入するには、相手を十分に受容しないといけないという事です。
期待をしてそれに応えさせようとするのは操作です。
操作というのはヒトとしてではなく、モノとして相手を見ているということです。
ヒトとして受容した上で、お互いに信頼関係を築き上げてから、お互いに上達を目指すということを理解しあった上でじゃないとやってはいけないということです。


ヒトとして受容するには愛情が必要です。
私には愛情が明らかに欠如していました。


愛情もなく、モノとして操作された星山君が、私に信頼や好意を持てるはずがありません。
“鏡の法則”です。




このことに気づいたのは9月の上旬でした。
それ以来、私は自分のあやまちに気づき、とにかくスタッフに対して愛情をたっぷり注ごうと決め、自分なりに努力をしてきました。


そんな折、私の体調が一時悪くなり、星山君に「もしもの時は残ってくれないか?」とダメ元で
たずねたら、星山君の返事は思いがけず「いいですよ」と二つ返事でした。


その後、検査の結果異常がないことがわかり、2人で話をした時に星山君は私に
「最近の小林さんって良いですよね」と言ってくれました。


遅ればせながらではありますが、星山君との信頼関係がはじめてできました。


経営者としてもっとも大切なものを気づかせてくれた星山君には本当に感謝しています。
もちろんその働きぶりも素晴らしかったし、仕事に取り組む姿勢も素晴らしかった。

「いろいろな仕事を経験してみたい」というのも星山君のホンネと思います。

どんどん経験して、そこで大いに勉強して、最後にもう一度とんかつ豊かに戻ってきてくれ。
学生ばかりでこれだけ真剣にお客様のことを考えて、自分の店として行動する店というのは、
他にはないよ。
その礎を築いたのは、星山君あなた自身だ。

いつでも待っているのでよろしく!
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# by tonkatsuyutaka | 2007-10-31 10:43
第110話 スーパー学生スタッフ“ほっしゃん”から学んだこと~その1~
このブログにも何度も登場している学生アルバイトスタッフのほっしゃんが10月いっぱいで
退社することになりました。
本人からの申し出は8月。
きちんと約束通りの円満退社です。


ほっしゃんこと星山佳慎君は大阪大学の2回生。
昨年の9月に豊かのメンバーになりました。

現役国立大学生、陸上で県大会出場レベルのスポーツマン、スラリと背が高く、ファッションセンスも悪くなく、しかも実家が飲食店経営で高校生の時から手伝っていたとのこと。


学生アルバイトに求める条件を全て兼ね備えていました
しかし、それが私の大きな期待になっていました。

入社当初のやり取りについては、ぜひ私のブログ第8話(07年6月6日)をご覧下さい。
http://tgrconsult.exblog.jp/5829904/

当初はずいぶんと伸び悩みましたが、1年経った今では作業の速度、質ともダントツです。


ほっしゃんの作業が優れている一つ目のポイントは「常に一歩先を読む」ことです。
彼はキッチンに入っているとき、お客様とホールスタッフのやりとりにじっと耳を傾けています。
そしてオーダーがはっきり聞き取れたものについては、ホールスタッフが伝票を読み上げる前に
すでに作業に入っています。
揚げ場にいるときは、すでに必要な肉が出ていて筋切りをはじめています。
盛りつけ場にいるときは、サイドメニューの準備やドリンクの準備に入っています。
そうした先読み反応はありとあらゆる場面で現れます。
なので、ほっしゃんがいるときは、キッチンはとても静かに回ります。
「○○取って」という前に、すでに出ているからです。


もうひとつは「多目的同時進行作業」です。
ポットの氷を注ぎ足すためにキッチン内を往復する間、ほっしゃんはいくつもチェックをします。
ご飯の状態、タイマーの残り時間、ダスターが乾いているか、味噌汁の火加減・・・
そしてチェックして問題があれば、即対応します。

飲食店のキッチンは想像以上にいろいろな作業が同時に進行しています。
それを少ない人数で素早く対応するのが、飲食店を繁盛させるポイントです。
「氷を入れる」というだけの目的で終わらせず、それに付随してたくさんの目的に対応することが
彼のスピードを支えています。



学生アルバイトは基本的に時間で動きます。
1時間働いてナンボです。
ゆっくり作業をしようが、急ごうが、1時間ナンボです。

しかし彼の頭にはその考えよりも「素早い提供」が占めています。
その意識はスピードよりも質に向かいます。


彼はそれらを頭で考えてやるのではなく、ほとんど無意識でやります。
まさに体得です。

仮に普通に作業をしたとしても、きっと1件あたりの作業時間の差は10秒位なのかもしれません。
確かにそうしたひとつづつの作業も重なると膨大な時間になります。
しかし、私がほっしゃんのことをスゴイと思うのは、ほんの僅かな時間でも絶対に無駄にしないという意識で常にいることです。
そしてその意識がお客様に早く提供しようという行動として現れている点です。


売上のことも常に気にかけ、
販促のことにも興味を持ち、
キッチンにいながらお客様の顔も良く覚えています。


どうやって彼の優れた行動パターンを伝えていくか・・・
そこが一番難しいところです。
もしかしたら当たり前のようにやる人、できる人の標準化というのは、
育てるのではなく、育つものなのかもしれません。


ただし、少なくとも19、20歳の男の子がここまでできたということは、
今後の教育の基本にできると考えています。



あらためて、星山君ありがとう。
君は素晴らしかった。



それにしても今日は持ち上げすぎたので、明日は落とさせていただきます(笑)
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# by tonkatsuyutaka | 2007-10-30 14:51