コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

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第2話 10坪・14席・駅近立地・Pなし・しかも夜のみ営業で何ができる?
とんかつ豊かは大阪府の北の外れ、面積の半分を国定公園が占める
箕面市(みのお)にあります。
箕面というのは大阪では有数の高級住宅街といわれています。
でもどちらかというと高齢の資産家が多く、
可処分所得が裕福な人はそれほど多くはありません。

豊かのある阪急電鉄箕面駅周辺は、30年程前はダイエーがあって、
日本初のミスタードーナツができ、商店街もとてもにぎわっていました。
しかし5年程前に約5キロ離れた車での交通至便な場所に
カルフールを各テナントとする超メガSCができて、大きく流れが変わりました。
行政の中心機能もそちらに移転する動きもあります。

そしてご多分に漏れず駅前からダイエーが消え、跡地にマンションが建ち、
商店街は多くの店でシャッターが下りたまま。
唯一の救いは高級スーパー「いかり」があり、遠方から富裕層が集まるので、
まだ華やかな雰囲気は残っている・・・
乱暴ですが、それがマクロ的商環境です。


とんかつ豊かは駅前商店街から少し外れたところにあります。
木造の古いぼろアパート(大家さんごめんなさい!!!!!!!)の1階部分を借りています。
広さは10坪、そのうち厨房が3.5坪ほど占めますので客席部分は12畳ほどです。
そこにカウンターが6席、4人がけテーブルが1つ、2人がけテーブルが2つの合計14つの席。
スタッフは私と学生アルバイトが合計8名。平日は2~3名、土日は3名で運営しています。
営業時間は平日6時から、土日5時半からでラストオーダーはともに9時過ぎです。
夜7時を過ぎるとほとんど人通りは絶え、店の前の道路も昼間以外は交通量はごく僅か。
駐車場はありません。

それが豊かの商環境です。




そんなとこで、


そんなとこだから、

やれることは全部やってやろう。
常識を超えるくらいのことをやってやろう。
という思いが強くなるのです。


呼ばなきゃお客様は来てくれない。
呼ぶためには店の存在と商品を知ってもらわないといけない。
でも広告を打つお金はない。
だからテレビや雑誌に取材にきてもらうと決めた。
取材に来てもらうためには話題がいる。
話題になる商品を作った。
取材が決まった。
お客様がどっと押し寄せた。
押し寄せたお客様に次回来ていただく策を講じた。
また来ていただいた。
3回目に来ていただくためにメニューを変えた。
それをまた楽しみに来ていただいた。

こうしてその都度高まる期待値のその上を行く改善を行いつづけています。


商売の正論である
集客活動と商品力強化とサービス力の強化。
それらが三位一体で上昇スパイラルを続ければまだまだとんかつ豊かは成長します。


だからまだまだ全く出来上がっていない店であり
もしくは永遠に完成がない店なのかもしれません。
来て欲しい客層のお客様で店をぎゅうぎゅうにしたい。
そしてその状態をずっと続けたい。

そのための策はまだまだ発展途上で出し切れていない。


だから楽しい。

だから勉強する。


病気で体調が完全でないから、昼の営業は出来ない。
そのおかげでこうしてブログを書けるし、そのためにますます勉強ができるのです。



10坪14席の小さな店は、
私にとってはマーケティングの理論と実践を繰り返すための、馬鹿でかい実験室なのです。
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by tonkatsuyutaka | 2007-05-31 11:37
第1話 飲食業は製造小売業。目の前がいつでもマーケティングの現場だ!
製造業が新商品開発する際にもっとも重要視するのがマーケティング調査。
いくら良い技術を持っていても、売れない商品を作ってもだめ。
だから売れる商品を作るために、莫大な費用をかけてマーケティング調査を行い、
さらに莫大な費用をかけてそのニーズにあった商品を開発するのです。
そうしてニーズやウォンツに対応した新製品が出来上がるのです。


でもメーカーの場合はここからが大変。
私が以前いた家電業界なら、自社の販売会社を通じて量販店への売り込みから始まります。
直接買う人ではなく、売ってもらう人に対しての売り込みです。
各メーカーのセールスは量販店で少しでも良い場所で陳列してもらうべく必死の攻勢です。
それはマージンなど、商品そのものの良さとは違う次元での交渉が続きます。


量販店からすると毎日たくさんのメーカー、品種、機種のこうした売込みがあります。
各メーカーを比較して売りやすいもの、そして利幅の大きいものを中心にして
主力販売商品を決めていきます。
さらにはチラシに協賛しろとか、販売応援を出せとか、そういった類の交渉もあります。
そうして本当にその商品の機能価値をお客様に伝えて売るというよりも、
メーカーと量販店の利害を中心に戦略を立てて売るというのが基本です。


買う人はというと、イメージ先行のメーカーのTVCMを見て、量販店のチラシを見て、
ようやくその商品、その店にたどり着くわけです。
そこで大手メーカーと量販店の資本の論理によって出来上がった売込みを受けて、
商品を選ばされているのです。
例えばテレビなら10年に一度しか買わない一般のお客様は、
毎日毎日テレビを売っている販売員にとっては、本当に赤子も同然の素人です。

こうして技術者達が精魂込めて開発した本来の価値とは少し違うところで、
売れる商品と売れない商品が生まれていくのです。

売った後も大変です。
例えば大型の薄型テレビは家で長時間使って、はじめて買ってよかったかどうか分かるもの。
その使用後の満足度を調べるのにも、莫大な費用がかかります。
お客様は満足したら量販店の担当販売員には「あれ、良かったよ」というかもしれませんが、
その声がメーカーセールスや開発担当者にまで細かいニュアンスまで正確に届くことは
100%ありません。

不良品の情報は届いても、痒いとこにはなかなか手が届かないというのが現実です。


それが「製造→卸し→小売り→お客様」の流れの大変なところです。
それが大企業の論理にのった資本主義社会だといわれれば、そうなのかもしれません。




では我々のような小さな飲食店はどうすればいいのか?

まずそんな長い道のりと費用をかける必要はありません。
今、目の前で食事をされているお客様の様子がマーケティング調査そのものです。



入店してきたお客様が、

どんな人か?
何人組みか?
どのメニューを選んだか?
どんな表情で選んだか?
何と比較して選んだか?


そして

どんな表情で食べているか?
どんな順番で食べているか?
残さず食べたか?


さらにはレジで食事の感想、つまり使用後の満足度を直接たずねることができるのです。



また店の外に出れば、

何を見て店に入ってきたか?
一度入りかけたのに入らなかった人はどの店に入ったか?


提供までの待ち時間でも

何をして時間をつぶしているか?
お連れさん同士でどんな会話をしているか?
どんな本を読んでいるか?
どんな表情で待っているか?


そうしたスゴイ情報が目の前でリアルに繰り広げられるのです。
しかもお客様のニーズとウォンツだけではなく、
不満も目の前で分かるのです。

家電メーカーなら数億円かけてでも欲しいマーケティングデータが、
表情の変化まで含めて分かるのです。


1日100人来れば、100個の細かいマーケティング調査ができるのです。

その結果から推測して商品改良や商品開発をすればいいだけです。
その結果から推測して販売促進やサービス充実を図れば良いのです。


推測してやってみたけど上手くいかなければまた戻せばいい。
推測してやってみて上手く行ったならもっと上手く行くように改良すればいい。


そうして日々、小さな変化=成長できるのが、小さな店の特権なのです。


それなのに、飲食店ではそれをしない店が多い!
職人魂で「俺の味が気にいらねーなら…」なんて時代じゃない。
家電メーカーにも職人さんはたくさんいます。
その人たちが「液晶なんて俺達の作ったブラウン管に比べれば・・・」なんていってたら
会社は潰れるのです。




とんかつ豊かではこの1年間にメニュー変更を9回行いました。
最近では5月16日に大きく変更したばかりですが、
予想通りの展開になっていないので近々に変更する予定です。


新メニューの導入や売れないメニューのカット、盛り付け量の調整、
盛り付け方や皿の変更、またメニューブックの変更など、
小さなものまで含めるとおそらく10日に1回くらいのペースで変化しています。

看板も1年間で5回変えて、来月早々にまた変更する予定です。



小さいから出来ないことを嘆くよりも、
小さいからできることをいっぱいやって、
楽しくなりませんか?

お客様をしっかり見て、
もっと楽しませること、
もっと幸せにすることを
実践しつづければ良いのです。

飲食店とはお客様を楽しく幸せのする場所です。
お客様が楽しそうにしてたらこちらも楽しくなるはずです。

もしそう感じられないのなら、
飲食店経営には向いていないのかもしれませんよ。
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by tonkatsuyutaka | 2007-05-30 13:50