コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

2007年 09月 03日 ( 1 )
第70話 反比例を比例に変える
私は精神論の人間ではありません。
店内にお客様がいない時にスタッフ同士がケラケラ笑いながらおしゃべりするのは全然OKです。
お客様がいなくても気持ちをちゃんと構えて・・・なんてことはこれっぽっちも考えません。
作業としてやるべき準備が完全に整っていて、臨戦体制になっていればいい。
いつお客様が来てもすぐにスイッチを切り替えればいいのです。


しかし昨日はその時間が長すぎました。
大体の土日はオープン直後から満席になるのですが、昨日は開店してから約1時間
平日並みかそれ以下のようなお客様の入り具合でした。


最初のお客様が入店されたのが開店から45分後。
それまでの間、厨房内のスタッフは2人でケラケラと笑いながら喋っていました。
確かに日曜日にしてはこのダラけた時間が長すぎたのかもしれません。
気合いの入っていた準備に比べて、あまりにも楽しい時間を過ごしすぎました。



最初のお客様を皮切りにして、一気にお客様が集まってきました。
30分後に満席なった後も、次々にお客様が来られます。
ホールを担当する私はそのコントロールに追われるとともに、商品提供やお茶などで走り回っていました。


キッチンはこの時点ではまだまだ余裕があります。
席が1回転して、下膳が来るようになってはじめて忙しくなります。

お客様が店内に入れずに外で並びはじめても、まだまだ楽チン。
かといってホールを手伝う業務もない。
するとキッチン内でまだおしゃべりが続きます。
ついさっきまで楽しくおしゃべりしていたのに、それが途切れてしまって名残惜しいのでしょう。
もちろん、大きな声をあげたりしません。
客席に聞こえない程度の小さな声で楽しそうに話をしています。


私はここで笑顔は止めて、業務に集中するように注意をしました。


その後も続々とお客様が来店されて、一時は5組15人待ちという状態に・・・
完全に1回転しないとご案内できない状態。
外でお待ちのお客様が席に着いたらすぐに食べていただけるように外でオーダーをお聞きして、
パン粉をつけるところまで準備をしておきます。


このころになるとホールよりも厨房内が戦争状態です。
次々に入る注文。
次々に戻ってくる食器。
次々に出来上がるとんかつ。

さらに私からは
氷を入れろ!
ご飯を炊け!
キャベツの準備しろ!
会計に入れ!
バッシングしろ!
ご飯茶碗がなくなった!
と次々に指示が飛びます。


完全に笑顔が消えて、やっと真剣モードに入った二人。
いつもならこうした波も途切れ途切れにやってくるのですが、昨日はそれが途切れません。
そうした状態が2時間半続いた頃、本当に疲れきった表情になっています。
顔に明らかに「もういやや~」と書いてあります。
そうなると完全に黄信号です。

当店には細かいマニュアルはありませんが、シンプルなルールはあります。
それは何でも相手に頼む時は「お願いします」ということ。
頼まれた側は「ありがとうございます」ということ。
相手の指示を聞いたら「はい」と返事をするということ。


しかしそれが一切なくなりました。
声をかけても返事をしない。
「もういやや~」が態度に現れます。

そして憐れみあっているかのようにスタッフ同士が笑いながらやり取りをはじめました。

ここで赤信号です
私の大嫌いな「ダラけモード」に突入です。
そこで私も切れて、声を荒げて怒鳴りました。




経営者というのは忙しくなればなるほど元気が出ます。
忙しい時は体も頭も疲れてきますが、それを上回る元気が沸いてきます。
現場でお客様と接していると、さらに元気が加速します。
早く席に案内したい。
早く食べて欲しい。
美味しいかな?
楽しんでもらえてるかな?

ホールにいるとそれをリアルに感じられます。
「あ~美味しいね」
そんな声が聞こえると疲れなんか吹っ飛びます。



スタッフは逆です。
狭い仕切られた厨房。
見えないお客様。

なんでこんなにしんどいの?
同じ時給なら楽なほうがいい!

それは私にも経験がありますし、至って自然の流れだと思います。



スタッフが「もういやや~」と思えば思うほど、
経営者は「もっともっと~」と考えます。
完全に反比例です。

特に昨日は最初の失われた1時間を取り戻すべく「もっともっともっともっともっともっと~」です。
うっとうしく感じるほどの反比例を起こしていたと考えられます。



どんな経営者に聞いてもこのギャップを埋めるのが大変なことであり大切なことだと答えます。
私もその通りです。
モチベーションを高めるためにはどうすべきなのか?



そんなことを考えていてふとひらめいたのが、

売上と時給を比例させること。

ある一定の売上を超えたらその日の時給を高くする。
よく人材確保のために土日の時給を高くするというのは聞いたことがあります。
でも自分の時給を高めるために、店の売上が上がるように努力するというのは聞いたことがありません。
私が考える「もっともっと」とスタッフの「もっともっと」を比例させればいいのです。



昨日、疲れきって怒鳴られて、不機嫌になっていたスタッフ。
でもそんな時にこそ元気に豊かになって帰って欲しいな。
そんな風に思って見送って思いついたことです。



どうなるかわかりませんが、さっそくやってみます。
そしていつもの通り、やってだめなら元に戻すだけです。
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by tonkatsuyutaka | 2007-09-03 12:35