コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

2007年 06月 05日 ( 1 )
第7話 超一流ホテルの三流料理で感じた現場の重要性
雑誌に掲載されていたスペイン料理のビュッフェランチを妻と食べに行きました。
店は大阪梅田にある電鉄系の超一流のホテル。
その直営レストランのビュッフェ料理です。
ランチ2,500円、ディナーは4,500円と高級ホテルにしては微妙な価格設定ではありますが、
前日に予約を入れて、いつもよりきちんとした服装で大いなる期待をもって出かけました。


ピアノが鎮座する吹き抜けの開放的な空間。
タキシード姿のウエイターに席に案内されて、いよいよ料理の置いてあるテーブルへ。



が、
二人で顔を見合わせて


うそ・・・やろ?


焦げるほどにしっかり揚がった冷凍のフライドチキンとフライドポテト。
芸術的なまでに小さなキスの開きに缶詰コーンをはさんだ本日の魚料理。
歯応えのない鶏にとろけるチーズがたっぷりのった照り焼き風みたいな本日の肉料理。
肉汁がすべて枯れ果てたパサパサの名物ローストビーフ。
5本つまむと皿全体のパスタが持ち上がるほどクリームがしっかり固まったカルボナーラ。
10人前はあろうかという皿の中にムキエビが10個ほどの特製シーフードピラフ。
ランチの目玉は100円寿司でも絶対通用しない5種類の握りずし。
山芋の素揚げやサニーレタスをちぎっただけのサラダ。
ポテトに卵の切れ端がくっついた唯一のスペイン料理であるスパニッシュオムレツ。
そして本日のお惣菜として、奇妙なおだしに浸された冷凍のたこ焼き・・・


こうした料理がズラリ。
いやチョロリ。



私は考えました。
なぜ、これだけ格式があるホテルがこうした料理を出すのであろうか?
ぐるりと店内に座っているお客の雰囲気を見ました。


広い店内の200席は日曜日の昼12時過ぎで4割ほど埋まっています。
ビジネススーツ姿の男性6名組、おめかしをした子供を連れたファミリー、
20代後半と思しき女性4人組、50代と20代の母娘、25歳くらいの男性3人組・・・



誰に売りたいんだ?
何を売りたいんだ?
食べていただいてどう感じていただきたいんだ?

店の料理と客層に対する思いが全く見えてきません。



そこで勝手に推測してみました。


おそらく、
今までは200もの席を埋めることが出来なかった。
しかし、昨今バイキングブームが起きている。
梅田では開店2時間も前から並ぶバイキング専門店が話題になっていた。
リッツカールトンやヒルトン、リーガロイヤルのホテルバイキングはそれぞれ定評がある。
同じ一流ホテルだからお客を呼べるだろう、と考えた。

しかし、来なかった。

人が来なくてもバイキングという以上、常にお皿はいっぱいにしておく必要がある。
しかし儲けのない部門に人件費のかかるシェフはおけない。
ロスの少ない料理。
技術の要らない料理。


こうしてたどり着いたのが、この料理ではないだろうか。



そして現場とは全くかけ離れたところで機能する販売促進。
ホテルに併設された劇場で行われる芝居に合わせて決められた料理のテーマ。
集客するためにお金をかけて撮影された料理イメージ写真。


今回その見事な写真に写っていた具だくさんのパエリアも
ビールが進みそうなピンチョスやタパスも全くなかった。


企画を立てる人、仕入れる人、作る人、売る人、
それぞれがバラバラ。
現場を知らない広告代理店と営業部門による販促、
お客様の顔を全く見ていない料理部門の技術と利益計算。

そうして一番肝心なホテルそのものの信用が崩れていくことに
誰も気付かず、誰も責任を取れない。
せっかく積み上げてきた格式も信用も一瞬にしてなくなるのです。



これだけのホテルでもそうなのだから、
小さな店なんて一瞬で吹き飛ぶよなぁ・・・
やはり常に現場を中心に考えないといけない!!!!!
そのように感じることができた、とても意味のあるランチタイムでした。



会計で二人分5千円を支払い、駐車サービス券をお願いしました。
立て札には5000円以上は2時間、5000円未満は1時間の駐車サービス券進呈とあります。
なぜか会計の女性はにっこりと1時間分の券をくれました。

私が「えっ、2時間じゃないんですか?」ときくと

彼女はさらににっこりと
「お客様のお支払いは5000円ですので1時間しか出せません」




「・・・あのね、いいですか、5000円未満というのは4999円以下のことで・・・・・・・・・」




最後の最後まで頑なに形式にこだわる、勘違いな一流ホテルの直営レストランでした。
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by tonkatsuyutaka | 2007-06-05 07:55