コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

2007年 06月 03日 ( 1 )
第5話「自分にしかできないこと×お客様のウォンツ=繁盛」の法則
とんかつ豊かは10坪14席の小さな店です。
ところが船井総研でコンサルタントをしていた時の指導先は大きな店ばかり。
開店に際して、指導先の店でも売上№1の50席の店をモデル店にしました。
1日平均350人、多いときには800人が来店する超繁盛店です。
その回転率なら当店でも1日に100人~250人の来客がある計算です。


それならばと、その店と同じく、
大きな2升炊きの炊飯器を購入しました。
大きな60人分の味噌汁ウォーマーを購入しました。
大きな10Lのウォータークーラーを購入しました。
とても高価なビルトインの浄水器を設置しました。

わずか14席の店の設備を50席の超繁盛店を基準にそろえたのです。


しかしオープンすると、お客様は1日多くても40人。
それでもいつ100人来るかも分からない。
それに備えて来る日も来る日も昼も夜も2升のお米を炊きました。
2升というとお茶碗40杯分。
お代わり自由を謳っているので客数が少ないときでも2升を炊いていました。
もちろん営業開始前に炊いたご飯は閉店まで残ります。
原価計算に基づいてはじき出した米の仕入れ値は10キロ2,500円が限界。
正直いってかなりの安物です。
炊きたてはまだ美味しいのですが、3時間経過すると黄ばんでひどく美味しくなかった。
だからお代わりもなく、廃棄の連続。

お代わり自由の味噌汁も同様です。
60杯分の味噌汁を作り、事前に汁碗に乾燥わかめと刻み揚げとネギをセットしていました。
しかし85℃のウォーマーに3時間も置くと、煮詰まるし、味噌の風味も飛んでしまいます。
風味の飛んだショボイ具の味噌汁は誰もお代わりを頼みません。
作るためと廃棄するための時間も昼と夜それぞれに使っていました。


それでもとんかつが美味しければお客様は増える!と思い込んで、
超繁盛店の基準を変えないまま、私が病に倒れ、やむなく休業になったのでした。
結局、1日の平均来店数は38人、最高客数は70人止まりでした。



長期間の入院中に私はゆっくりと考えました。

俺は何を売ってるんだ?
とんかつか?
いや違う、とんかつ定食だ。

ということは、いくらとんかつが美味しくても
ご飯や味噌汁がまずければ「まずいとんかつ屋」になってしまうよな。
ようやくそのことに気付きました。


そこで夜だけの営業時間に変更した再オープン時に
とんかつ定食としてどこまで美味しくできるかをコンセプトに改良を加えることにしました。

わが店は小さい。
小さいがゆえに大きな店より有利なことは何か?
そしてとんかつ定食にお客様は何を望むだろうか?
そのことについて真剣に考えました。


とんかつ豊かもとんかつチェーン店もご飯、味噌汁、キャベツのお代わりが自由である。
しかし、何でお代わりが自由なの?
ファミレスでご飯のお代わりはできないよ。
牛丼屋さんはご飯大盛りは有料だよ。

なのに、なんでとんかつ屋はお代わり自由にしなくちゃいけないの?

お代わり自由にしなくちゃいけないから、美味しくないんじゃないの?

本当に美味しいものを、適量食べればいいはずなのに・・・


よし!まず、お代わり自由をやめちゃおう!

とんかつ屋の常識を打ち破った瞬間です。



そう決めて、まずはご飯を変えました。
飲食店の方が聞いたら腰を抜かすかもしれませんが、10キロ8千円の米にしました。
常に炊きたてを提供するために、1升炊きのガス炊飯器で3合づつ炊くことにしました。

味噌汁はオーダーごとに小さな鍋で作ることにしました。
そうすることでシメジやかぼちゃやサトイモなど火の通りにくい食材まで何でも使えます。
最低4種類の具だくさんの熱々出来立て味噌汁です。

キャベツもその日に切ったもののみを使うようにしました。
足りない分を手切りして出すようにしました。

自家製ドレッシングは具の量が倍になりました。

漬け物を紀州南高梅干しの4Lサイズのものに変えました。



かくして自分自身が本当に食べたいとんかつ定食が完成しました。
揚げ立てのとんかつに、炊き立てごはん、出来立て具だくさん味噌汁、
切り立てキャベツに最高級梅干しです。
ただしご飯のお代わりは1杯まで。
味噌汁とキャベツのお代わりは有料。
それもメニューには書きません。


改めて他店との味を比較して、味(=価値)に妥当な価格をつけました。
そして一般的な大手チェーン店の約1.5倍に決めました。
でも一つ一つの美味しさは2~3倍という自信があります。

こうして手間と原価がいっぱいかかる贅沢な美味しいとんかつ定食に生まれ変わったのです。



しかし始めてみて思わぬ産物に気付きました。

ロスが全く出ないのです。
ご飯は一合から炊けます。
不足しそうになったらお客様に「炊きたてを出しますからしばしお待ちを」と言うと、
平気で30分待っていただけます。
味噌汁もキャベツも廃棄ロスはゼロです。


ロスを減らすために変えたのではありません。
美味しいものを作り上げたら、ロスが消えたのです。


原価率のことを考えて安いものを使っていたから、ロスが出ました。
原価率など考えずに、自分達にしかできない最高の美味しさを求めた結果、
安い食材を使い効率ばかり考えていた時に比べて、粗利率は実に11%も向上しました。



そうです。
計算ばかりして、自店の本質を完全に見失っていたのです。
店の規模や立地条件、そして何よりも経営者の方針によって、本質は全て違うはず。
もともと最高に美味しいとんかつ屋になろうと思って始めたのに、
いつも間にか超繁盛ファミリーとんかつ店の真似事をしていたのです。

再オープンして価格が上がったことで、客足は伸び悩みましたが、
千客万来ではなく一客再来に全力集中したこと、
また販促戦略に基づいたテレビ出演が決まったことなどで
オープン3ヶ月目に一気に伸びました。

夜だけ3時間の営業時間で65人の客数を記録しました。



小さな店であること。
頭ではなく、舌で考えたこと。
その結果、大手とんかつチェーン店を競合店として意識することがなくなりました。

だって、考え方が違うもん。




さて次は何をしてお客様のウォンツをくすぐろうかな~
それを知るために早速スタッフを連れて勉強だ。



競合になりそうな京都の超繁盛イタリアンに行こうかな?




ところで税理士先生。



経費になりますよね?????????
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by tonkatsuyutaka | 2007-06-03 09:30