第110話 スーパー学生スタッフ“ほっしゃん”から学んだこと~その1~ |
退社することになりました。
本人からの申し出は8月。
きちんと約束通りの円満退社です。
ほっしゃんこと星山佳慎君は大阪大学の2回生。
昨年の9月に豊かのメンバーになりました。
現役国立大学生、陸上で県大会出場レベルのスポーツマン、スラリと背が高く、ファッションセンスも悪くなく、しかも実家が飲食店経営で高校生の時から手伝っていたとのこと。
学生アルバイトに求める条件を全て兼ね備えていました
しかし、それが私の大きな期待になっていました。
入社当初のやり取りについては、ぜひ私のブログ第8話(07年6月6日)をご覧下さい。
http://tgrconsult.exblog.jp/5829904/
当初はずいぶんと伸び悩みましたが、1年経った今では作業の速度、質ともダントツです。
ほっしゃんの作業が優れている一つ目のポイントは「常に一歩先を読む」ことです。
彼はキッチンに入っているとき、お客様とホールスタッフのやりとりにじっと耳を傾けています。
そしてオーダーがはっきり聞き取れたものについては、ホールスタッフが伝票を読み上げる前に
すでに作業に入っています。
揚げ場にいるときは、すでに必要な肉が出ていて筋切りをはじめています。
盛りつけ場にいるときは、サイドメニューの準備やドリンクの準備に入っています。
そうした先読み反応はありとあらゆる場面で現れます。
なので、ほっしゃんがいるときは、キッチンはとても静かに回ります。
「○○取って」という前に、すでに出ているからです。
もうひとつは「多目的同時進行作業」です。
ポットの氷を注ぎ足すためにキッチン内を往復する間、ほっしゃんはいくつもチェックをします。
ご飯の状態、タイマーの残り時間、ダスターが乾いているか、味噌汁の火加減・・・
そしてチェックして問題があれば、即対応します。
飲食店のキッチンは想像以上にいろいろな作業が同時に進行しています。
それを少ない人数で素早く対応するのが、飲食店を繁盛させるポイントです。
「氷を入れる」というだけの目的で終わらせず、それに付随してたくさんの目的に対応することが
彼のスピードを支えています。
学生アルバイトは基本的に時間で動きます。
1時間働いてナンボです。
ゆっくり作業をしようが、急ごうが、1時間ナンボです。
しかし彼の頭にはその考えよりも「素早い提供」が占めています。
その意識はスピードよりも質に向かいます。
彼はそれらを頭で考えてやるのではなく、ほとんど無意識でやります。
まさに体得です。
仮に普通に作業をしたとしても、きっと1件あたりの作業時間の差は10秒位なのかもしれません。
確かにそうしたひとつづつの作業も重なると膨大な時間になります。
しかし、私がほっしゃんのことをスゴイと思うのは、ほんの僅かな時間でも絶対に無駄にしないという意識で常にいることです。
そしてその意識がお客様に早く提供しようという行動として現れている点です。
売上のことも常に気にかけ、
販促のことにも興味を持ち、
キッチンにいながらお客様の顔も良く覚えています。
どうやって彼の優れた行動パターンを伝えていくか・・・
そこが一番難しいところです。
もしかしたら当たり前のようにやる人、できる人の標準化というのは、
育てるのではなく、育つものなのかもしれません。
ただし、少なくとも19、20歳の男の子がここまでできたということは、
今後の教育の基本にできると考えています。
あらためて、星山君ありがとう。
君は素晴らしかった。
それにしても今日は持ち上げすぎたので、明日は落とさせていただきます(笑)