コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

第78話 店は経営者そのものです
私がとんかつ豊かを作るときに重視したのは、店と私が一致しているかどうかということです。
良いものを求めていくとキリがありません。
それこそお金だっていくらあっても足りなくなります。
しかし、安易にどこかの真似をするというのではなく、自分らしさを求めていく必要があります。
それは自分の好きなファッションを身に纏うのと同じだと思います。
そもそもブランド好きではありません。
ブランド品だと安心はしますが、まずどこかのブランドありきから探すようなことはしません。
なので完璧なコーディネートではなく、少しゆるい感じの一体感が好きです。



私は目を閉じて、どんなお客様がどんな人と一緒にどんな服装でどんな会話をしながら
とんかつを食べているか、それをイメージしました。

そのときに出てきたのが雑誌“BRIO”に出てきそうなカッコいいカップルがワインを片手に
とんかつを食べている姿でした。

そんな人達が似合う空間。それがこの店のデザインコンセプトでした。


それをデザイナーの坂本大祐氏と徹底的に打ち合わせをして決めていきました。
とにかくお金が限られています。
しかしながら、お金があるからセンスの良い店が出来るのではありません。
アイデアと知恵をふり絞って、工夫すれば、お金がなくてもカッコいい店は作れます。



私がコンサルタント時代に関わった店のひとつは、それこそ贅を尽くした店でした。
90席のその店は建築費だけで3億はゆうに超えています。
一流のデザイナーが調度品ひとつにまでこだわり抜いた飲食店。
とにかくとても豪華で、かっこよくて、見事なまでの内装です。

飲食店経営に携わる人なら誰もが憧れる、そんな店。
私もはじめて見た時は感動しました。


しかし1週間後に再度見た時には、もう見飽きていました。


人を一瞬でひきつけるものは、一部の芸術作品を除き、逆にあっという間に飽きられます。

あまり贅沢を美とは考えない極めて保守的な地方都市。
そこに車が止まっているだけで、あの人は贅沢していると思われます。


これ見よがしなあまりにも豪華な店舗は、地域の客層に全く合いませんでした。



料理人、そして繁盛飲食店の経営者としての視座で見た理想のレストラン。
しかし大きな夢と莫大な資金をつぎ込みながらあえなく撤退となりました。




店の主役はあくまでも商品とサービスです。
そこにゲストを招くのです。
肝心のゲストが来なければ意味がありません。


そしてゲストと商品とサービスを心地良く調和するのが、内装デザインです。


私のイメージした“BRIO”のお客様は本当に良いものを知っています。
バッタモノは通用しません。
ゆえに「センス」ひとつでまとめたのです。
そしてデザイナーと私のセンスと価値観が見事に一致したことも幸いでした。



例えば、天井はすべて取り払って真っ黒に塗りつぶしただけです。
壁紙は前に使っていた選挙事務所が貼ったスーパーエコノミー品です。
テーブルは合板です。


それらの素材にアイデアと知恵と工夫をめいっぱい必死になって盛り込んだのです。



店の内装はあくまでも脇役です。
主役の商品に自信があれば、ハッと目をひく必要はありません。
逆に何度来ても飽きないことの方が重要です。


それが主役を引き立てるのです。


そして経営者のセンスと一致していることが重要です。



ただし・・・
今、とんかつ豊かの客数の7割を女性が占めています。
これほどまでに女性客が多くなるとは想像していませんでした。
築30年以上たった半畳の狭い和式トイレはあまりにもギャップが激しすぎるようで、
苦情もたくさんいただきました。
しかし改装のしようがないというのも事実。

そこでPOPを貼りました。

「驚かないで下さい。この扉の向こうは昭和42年です(笑)。
狭く使い勝手が悪いことをお許しください」


こう書くだけで「面白いよ!見てきてみ」と茶目っ気たっぷりにおっしゃっていただける、
そうした方々が我が店のお客様です。
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by tonkatsuyutaka | 2007-09-13 08:23
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