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コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

第56話 ついにお客様を帰してしまった・・・
店をやっていると本当にいろいろな人が来られます。

どんなお客様に来て欲しいかを明確にして、その人たちにメッセージを送り、来て欲しいお客様で店がいっぱいになる・・・それを目指して日々品揃えやサービス、雰囲気作りから販促ツールに至るまで試行錯誤をしながら、少しずつ少しずつ改善・改善の連続です。

おかげさまで、1年前に比べると少しずつですが理想に近づきつつあります。
また、そうすることでお店の賑わいも増してきました。
51話で紹介した店ほどではないもの、やはり主力客層との調和というものは大切にしていきたい。それは今この店を利用していただいて楽しんでいただいているお客様を大切にしたいという思いが強いからです。

当然ですが、中には来て欲しくない合わないお客様もいらっしゃいます。
多い日にはそういうお客様ばかりの時もあります。
でもお客様には責任はありません。
別に来ないで下さいと明記しているわけではありませんから・・・
それに言葉にしようとしても表現があまりに難しい。
そのため、この店はどういう店であるかをしっかりと態度で示し、雰囲気に合わせていただくか、
もう来ないかの判断をしていただくように振舞っています。


今までにお断りをしたのは、酔っ払ってフラフラで入ってきて「早よ、水持ってこんかぁ!!!!」と大声でスタッフを怒鳴りつけたお客様だけです。

それ以外は小さな子供さんでも、鼻ピアスの若者でも、大いにとんかつを楽しんでいただく努力をします。
こちらが努力して、それでも合わなくて再来店がなければ、それは仕方がありません。



ところが昨日は違いました。
随分以前から予約をいただいて、開店と同時に来店された身なりもふくめてまったく普通の親子
4人連れでした。
しかし3歳くらいの下のお子さんが「見せて~見せて~」とすごく大きな声を出し始めました。
まだ他のお客様は入店されていませんでしたが、この後に予約も入っており、店内は満席になることが分かっていたので、
「小さな店なので大きな声は困ります。お静かにお願いします」と伝えました。
それを聞いた30代前半の親は全く反応なしです。
そのあと、女性3人組みの来店がありました。
しばらくすると今度はドンドンと机を蹴りはじめ、向かいに座っていたお客様は明らかに迷惑そうにしています。
再度「お静かにお願いします」と言いに行くも、しばらくすると今度は大声で泣き叫び始めました。
他のお客様も露骨に困った表情をされましたので、
「静かにしてもらうか、お引き取りいただくか、どちらかにして下さい」と伝えました。
すると
「もう出よか?」「うん、出よ出よ」
そう言って、すみませんの一言もなく黙って店を後にしました。

予約までしたのにとんかつを食べられなかったのは、まるで店のせい、子供のせいという態度です。子供が泣き叫んでいる間、両親は注意することもなくメニュー選びに夢中です。
私は子供に注意したのではなく、そんな親に注意したのです。
なんだか、子供がかわいそうになってしまいました。




親は自分の価値観を押し付けるものです。
子供はある意味で親の被害者です。


夏休みの今は電車に乗っていても、そうした光景を見受けます。
車内で携帯電話を使って話すのは大人のほうが圧倒的に多いです。
子供を連れている母親や50過ぎのビジネスマン、そして最近増えているのはおじいちゃんおばあちゃん世代です。大きな音で着信音は鳴らすし、まるで家の電話のごとき喋り方です。
若者のマナーをとやかく言う前に、大人がきちんとマナーを守れ!空気を読め!と言いたいです。



逆に従業員教育をする上では、私が常に大人としての対応をしていかねばならないことがわかります。高校を出て地方から出てきたばかりの学生達の社会人としての躾です。
優しく甘やかすばかりでは、彼らの将来に悪影響を与えてしまうという責任を感じています。
店を運営するために少しでも長く気持ちよく働いてもらう環境を与えるのとは矛盾しますが、
お客様に子供の躾について求める以上は、自分が実践するよりほかありません。


親子4人連れを「またお越しください」と見送りながら、そんなことを思いました。

おかげさまで、その4人連れが出て行った後はいかにも当店らしいお客様で満席になりました。


異物を排除するのか、それとも受容したうえで気付かせるのか?
千客万来ではなく、一客再来を目指すとはいえ、最初の一客になってもらわなければ再来はありません。

実に後味の悪い思いをした今回の出来事も含めて少しづつ進化して、店にそうした風格が備わればいいなぁ、そうなる頃には私にも風格が出るかなぁ・・・?


なんといっても3日前に70代の男性客に「ねえ、ぼく」と呼ばれた経営者ですから・・・
by tonkatsuyutaka | 2007-08-17 11:48
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