コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

第55話 「もっと長いこと働きなはれ」?!
先日、50代のご夫婦がご来店になられました。
「あれだけ旨いとんかつ食べさせてもろうて、それより旨いのがあるって聞いたら来ずにおられんかったわ。でも2日連続はなんやし、1日だけ間を空けて来たで」


なんと2日前に初めて来られたお客様です。
その時はお嬢様と一緒に来られました。
お嬢様は何度か来られているようで、席に座るなりメニューも見ずにヒレかつを3人分注文。
「とにかく美味しいねん」
「何もつけないで食べるんやで」
と、提供までの間にお嬢さんからレクチャーを受けておられました。

食べ始めてからもその席からは「美味しい、美味しい」の声が止みません。
お茶を持っていった際に話しかけていろいろと説明をし、その時に
「次回お越しの際はぜひロースかつを召し上がってみてください。
この店では8割のお客様がロースを召し上がられますので」
と、宣伝もさせていただきました。



約束どおり、その日はロースかつに海老フライも注文されて、きれいに食べていただきました。
同じようにお茶を持っていった際にお話を聞いていると、どうも開業医のご様子。
「昼も開けたらもっと儲かるやろうに、なんで昼はやらんのや?」
と質問されました。
私は簡単に体のことをお話して夜しかできないことを説明。
そうすると「わしと一緒や。長いこと働けばええちゅうもんちゃうんや。仕事は質や。」



確かに私の仕事をしている時間は短いです。
店に着くのは大体2時半。
そこからシャッターを開けて、銀行に行って、買出しに行って、売上データの集計をして、
スタッフが出てくる5時までは事務所でゆっくりと過ごしています。
仕込みはスタッフに任せていますので、5時半に開店準備のために店に入ります。
ラストの片付けもスタッフに任せていますので、レジを締める9時半には店を出ます。
2階にある事務所で集計を取りながら、スタッフが上がってくるのを待ち、早ければ10時過ぎに帰路につきます。
会社にいるのはせいぜい7時間ちょっと。

飲食店経営者としてはありえない短さかもしれません。



しかし、会社にいる時間だけが仕事ではありません。
プールに行っても、買い物に行っても、本屋に寄っても、テレビを見ていても、外食をしていても、電車に乗っていても、私にとっては仕事時間です。

商品戦略、サービス戦略、販促戦略、人材戦略について考えるのが私の仕事です。
逆に作業は完全に任せるから、無休営業も可能になっています。


昼の営業を始めるためには完全に任せきれる人ができてからです。
そのためには夜の営業を任せきって順調に推移できなければなりません。



店を長く開けることで、品質やサービスにムラが出ては元も子もありません。
多店舗展開と同じです。


まずは自分の足元をガチガチに固めきってから、安心して次の一歩を踏み出す。
そのためにお客様から見えている以上に、経営者としての仕事時間は長いと思っています。



船井総研時代には年間15日くらいしか休めない年もありました。
それでもコンサルタントとして実力がついてからは60日くらい休めました。
今は体を休めることも仕事になり、本当に心まで休まるのは店を営業していないお正月くらいです。きっと経営者としての能力が高まれば、もう少し休みが増えるかもしれません。


その時はお客様にとっても長くたくさんの仕事をしているように見えるのだと思います。
それまでは見えないところでコツコツと実績を積み上げるしかありません。



お会計のときにも
「体無理したらあかんで。お互いに短い時間しか働けへんけど、ええ仕事しましょうな。
また近いうちに来まっさ!ホンマに近いうちに来るで」
とおっしゃっていただきました。


“ええ仕事”の意味するものを考えさせられたお客様との出会いでした。
[PR]
by tonkatsuyutaka | 2007-08-16 10:45
<< 第56話 ついにお客様を帰して...   第54話 好調な業績から学ぶこと >>