コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

第47話 不自然体
7月の終わりに新メンバーが加わりました。
国立の大学生で飲食店でのアルバイト経験も豊富です。
やる気もあるし、技術も知識もあります。

そんな彼がお客様を見送る際に言う「ありがとうございました」の言い方が変なのです。
発声も変だし、言い回しもイントネーションも変。
とても造られた「ありがとうございました」なのです。


入社初日から気になっていましたが、しばらくは作業を覚えるのに集中させるため指摘はしませんでした。
しかし1週間が経ち、作業も目処が立ち、本人に対する今後の期待も伝えた後で気になっていた「ありがとうございました」の話をしました。


本人はビックリしていました。
そもそも自分がどんな風にいっているかも分からない、と言います。
試しに言わせてみるととても自然な「ありがとう」を言います。
訓練されて、何度も何度も言っているうちに無意識で言ってしまっているので、
意識して言おうとしても言えないのです。


おそらく以前に勤めていた飲食店ではその「ありがとう」が良かったのだと思います。
しかしとんかつ豊かには合っていません。
私のおもてなしのコンセプトは“自然体”です。
彼のとても上手な、しかしとても不自然な「ありがとう」は、決して間違っているのではなく、
合っていないのです。




「お前のその笑顔は不自然なんさ!今すぐやめろ」
今から9年前、船井総研に入社した初日に挨拶にいった上司の宮内亨氏に言われた第一声は
これでした。
「よろしくお願いします」と頭を下げた次の瞬間です。


学生アルバイト時代から含めて12年間にわたって家電量販店で勤務した結果、身についた笑顔と言い回し。自分では結構なレベルだと思っていました。
それがホンネ一筋の宮内氏にはどうにも気に入らないようでした。


自分にないものを造り出すと不自然になります。
でもそれも使い慣れると身についてしまいます。
しかしそれは不自然なので随所でボロが出ます。
本当に自然な笑顔ならいかなる場合も崩れないでしょうが、宮内氏の思いもよらぬ一喝で完全に彷徨える笑顔になったのは自分でも分かりました。


その後もことあるごとに指摘されつづけていくうちに、3年もすると随分と緩和されました。
今ではすっかり消えてなくなったと思います。



自分にないものを造るというのは、第一印象で好印象を与えるためにやる場合が多いです。
つまり自分の本質を隠さねばならないのだと思います。
もちろん常識のレベルで礼儀正しいのは必要ですが、度を越す不自然なものには違和感を
感じます。
なにかあるのかな・・・?と。


以前、お世話になったある経営者もそうでした。
お辞儀の仕方や腰の低さ、物腰の柔らかさ、気遣いぶりから、その方に会ったほとんどの人は
「なんて素晴らしい人なんだ」と思われます。
私もそんな1人でした。
しかし、残念ながら本質は全く違いました。

そこに気付いてからの関係は不自然そのものです。
そしてようやくその呪縛から解放されました。
そこから学んだことはとても大きいですし、ありがたいことです。



その経営者が不自然であることが悪いのではなく、それを見抜けなかった私が悪いのです。
なぜなら私も不自然だったからです。
経営者になって、病気をしたり、売上が伸びずにもがき苦しんでいるうちに、自然体になっているのだと思います。
そうなるととても楽です。
自分や相手の地位とか立場とかそんなのは一切関係なく、素直になれるのです。



同じ過ちを自分がしてはいけないし、部下にもさせたくありません。
私が笑顔1つから変えたように、スタッフの「ありがとうございました」から変えて、
無理のない自然体の企業体質を作りたいと思います。
そうして店名通りに店に関わる人みんなが豊かになれれば最高です。
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by tonkatsuyutaka | 2007-08-06 11:37
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