コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

第42話 「基本接客用語の唱和」なんて全く不要!
コンビニに行くとやたらキチンとした挨拶を耳にします。

「いらっしゃいませ、こんばんは~」
「袋はご利用になられますか?わかりました。ありがとうございます!」
「またのご来店を心よりお待ちしております!」

ほとんどの場合、スタッフは誰一人として顔も目も見ないし、こちらを向いてさえいません。
全く心をこめずに、しかし言葉だけはやたらハキハキとしっかりした音量が出ている。
まるで郵便局のATMみたいです。


同じような現象を大手の飲食チェーンや量販店などでも見かけます。


これをお客の立場として、
学生アルバイトが言うのだから挨拶するだけマシだ、仕方がないと考えるのか、
1つの音声として認識するなら、機械じゃなく人が言ってるだけマシだと考えるのか。


アルバイト側からすると、教わった通り、決められた通りに言っているだけでです。
言わなきゃ怒られる。
だからやっているのであって、お客がどう思うなんてこれっぽっちも考えません。



そしてこの状態で良しとする店長やオーナーもいるし、スーパーバイザーもいる。


結局は企業の教育がこうした状態を作っているのだろう。
日本一の小売りチェーンストア。
チェーンストア理論に基づいた出店、品揃えの戦略はスゴイことかもしれないが、
財布からお金を出し、相手に手渡す時の「気持ち」を理解した教育が全くできていない。

なんでこんな人の顔も見ずに掛け声だけ出してあとはレジでぺちゃくちゃ喋ってる奴らに、
大事なお金を払わなくちゃいけないんだ?

「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」というだけが、お客様を迎えるサービスなのか?

店内に設置している防犯カメラをめったに起きないコンビニ強盗だけに使うんじゃなくて、
スタッフ教育用に使えばいい。

コンビニのオーナーやスーパーバイザーは暇な時間帯のコンビニを利用して勉強してるのか?



どうしてこんな教育ができるのかというと、
流通業で必ず覚えさせられる「基本接客用語の唱和」が原因の1つです。
研修や朝礼で相手もいないのに、ただただ「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と叫ぶ。
私も家電量販店出身です。
入社研修では毎日2時間以上、基本接客用語の唱和とお辞儀の仕方について練習をしました。
のどが枯れるほど大きな声で、筋肉痛になるようなお辞儀を毎日毎日繰り返しました。


しかし店頭でそんなデカイ声も、そんな不自然なお辞儀をもただの一度もしたことはありません。



そんなことがあって、私の店では「言語」は一切教えません。
それをするとみんな言葉覚えに必死になるからです。
そうして心のこもっていない音声だけが発せられることが分かっているからです。

私は「気持ちと立場」を徹底的に教えて、スタッフそれぞれが持つ、年齢や性格や躾などから出てくる自然の言葉で接客するように言っています。
「来ていただいてありがたい」「美味しいとんかつを楽しく食べて欲しい」「また必ず店に来て食べていただきたい」という気持ちを持ちつづけることが言葉覚えよりも重要だからです。

たどたどしくてもいい、ぶっきらぼうでもいい、方言が入ってもいい。
後はそんなスタッフを見たお客様がそれぞれ判断してくれることです。
40歳の経営者が言う言葉と、18歳の女子大生が言う言葉が同じはずがないのです。


いわゆるサービスマニュアルも作っていません。
それをするとマニュアルにないことが発生したら対処できないし、全て書こうとしたら膨大な厚みになるし、その項目を探すだけでも一仕事になります。
そんな事をする労力と暇があったら、「お客様の気持ちと立場」を実践させるほうがよほど身につきます。実際に席に座ってお水をこぼしてしまった時、どうして欲しいのかを感じさせるのです。

①「お客様が水をこぼした時の対処方法」・・・こんなマニュアルなんて不要です。


船井総研時代にはマニュアル作りの仕事もたくさんしました。
それはきっと私が現場から離れていたからであり、マニュアルのある会社にいたからです。
もっとリアルに現場と向き合い、スタッフとお客様の両方の立場になって考えると、
マニュアル以前に現場教育が大切だと分かります。
立派なマニュアルを作って、それを渡すだけではなく、それに基づいた教育を新入時以降もずっとずっと続けてこそ、はじめてマニュアルも活かされます。




朝礼で基本接客用語唱和をするくらいなら、スタッフ同士がお互い真剣に相手の目を見て
自分の言葉で挨拶をする練習をしてくれた方が、お客の立場としては嬉しいよな~

3人いたスタッフのうち、1人はレジ締めの集計をしながら、もう1人は新聞の片付けをしながら、
そして会計をしてくれたスタッフまでもがレジの画面を見ながらの対応・・・
箕面駅にあるコンビニエンスストアで23時20分に127円の水を買ってそんなことを感じました。
[PR]
by tonkatsuyutaka | 2007-07-28 10:02
<< 第43話 辞めないのも1つの才...   第41話 日本3大祭りの天神祭... >>