コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

第34話 「まっ、いいか」が全てを壊す
今月から入った新人の研修がいよいよ揚げ場の実践研修になりました。

練習では誰でも簡単に揚げられますが、本番になるとなかなか大変です。
順番も守らないといけない、同一テーブル分は同時に揚げあがるようにしないといけない、
揚げる以外の作業も発生する、相手ができると全く変わってきます。

でも忙しいからといって、経験させないといつまでたっても一人前になれません。


ゆえに新人デビューの時はしっかりしたスタッフを1人余分にいれて、営業時間中ずっと見張りをしてもらいます。一切、手出しをせずに後ろに立って指示を出しつづけるのです。
まるで背後霊のように・・・

昨日もデビュー2日目のスタッフの作業を勤務11ヶ月の頼りにしているスタッフに見てもらうことにしました。

忙しくても交代はしません。
何が何でも新人にやらせます。
それによって提供が遅くなるのは経営者の責任です。
遅くなるときは席を回ってお客様に事情を説明しながら謝って回ります。
その代わりにきちんとした商品を作ることは指導スタッフに任せます。
それが彼らの役割です。

誰もがそうですが、教えるよりも自分でやるほうが楽チンです。
教えるスタッフもみんな若いから「俺がやればもっと早いのに・・・」という気持ちも高まります。
しかも教えるのは同年代ばかり。
フラストレーションのたまる本当に我慢の要るきつい仕事です。



が、昨日は少し事情が違いました。
一気にお客様が入店されてあっという間に満席になり、電話で持ち帰りの注文が12人前入り、
平日としては完全にいっぱいいっぱいの状態になりました。
ベテランスタッフが揚げていてもちょっと大変というレベルです。

それでも代わることはさせません。
何が何でも新人にやらせます。


しかし人が足りないので指導スタッフには新人を見ながらできる作業だけをやってもらいました。
が、やはり彼の集中する矛先が「早く提供しよう」になってしまいます。
そうして見落とすことがいくつか出てきます。


そして出てきた商品に異変がありました。
横に添えるヒレかつが明らかに規定のサイズよりも小さいのです。
すでにかなりの時間をお待たせしていましたが、そんな商品を出すわけにはいきません。


私は揚げ場に行って「なんじゃこれは?」といって話を聞くと、新人スタッフは計量をせずに肉を
カットしていました。
そして指導スタッフは他の作業に追われて、遠目にそれを見ながらもいつも自分達がやっている
ことと見過ごしていました。
しかも盛り付けの時にはメインのとんかつに添える一品なので、これも見過ごしていました。



どちらも原因は「まっ、いいか」です。


忙しいんだから仕方がない、いつもやってることだから大丈夫だろう、これぐらいなら・・・
それよりも「お待たせしているから」と勝手に正当化するのです。
そして自分を納得させるために「まっいいか」と心の中でつぶやきます。

そんな気持ちが商品を不良品化させるのです。


お客様にとっては忙しかろうが新人だろうが知ったこっちゃありません。
いつでもきちんとした商品を出すことが店の使命です。



一つ一つは小さなことでも、それの積み重ねがちょっと前に問題になった不二家の工場で起こっていたことです。
賞味期限が一日過ぎたくらいなら・・・床に落ちても3秒以内なら・・
そんな積み重ねが上場企業でさえも経営危機に陥れるのです。



このあと、新人スタッフには完全に慣れるまでの2ヶ月間は、どんなに忙しくてもきちんと計量することと、スピードのことは一切考えずに一つ一つの作業をしっかり確実にやるように優しく指導しました。
指導スタッフにはほんの僅かでも「大丈夫かなぁ?」とか「あれ?」と思ったら作り直せ!俺の顔色を気にするのではなく、自分がお客様でこの商品が出てきたらどう思うかで自主的に判断しろ!その権限をお前に与えているはずだ!厳しく指導しました。



とんかつ豊かはファストフードではありません。
スピードは二の次、三の次です。
いかにして最高に美味しい状態で美しく提供するか!
それがとんかつ豊かの本来的機能価値です。



たまたま私がいたのですぐに揚げ直しをさせて不良品の提供は食い止めました。
しかしスタッフの「まっ、いいか」という気持ちを食い止められていませんでした。


経営者として一切妥協のない厳しい姿を見せつづけないといけない。
その姿を見てしか、本当の意味で人は育たない。
それをつくづく実感した大雨の営業でした。
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by tonkatsuyutaka | 2007-07-14 10:16
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