コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

第33話 若者向けファッションビルでの大行列
昨日、現場ではない日なので朝から神戸へ出かけました。
自宅と店との往復だけでは流行に触れることが出来ないため、店に出ない日はできる限り
繁華街に出かけて情報収集をするようにしています。


三宮に到着したのは10時半頃。
まずはJR三宮駅前にある昨年秋にオープンしたばかりのファッションビルに向かいました。

ここは阪神大震災で被害を受けた新聞社ビルの跡地に建てられた最新の流行発信ビル。
20代~30代くらいを対象にしたファッション・雑貨のセレクトショップが大半を占め、
他には大型CD店、レストランフロアがあります。


しかし開店が11時だったし、雨も降っていたので近くにある喫茶店に入って待っていると、

入口にぞくぞくと人が集まってくる。

バーゲン開催中のこの時期だからかなと思って列を見ると、並んでいる客層はどうみても似つかわしくない50代女性を中心に、いわゆる「おばちゃん」軍団。
それもひとりではなく2人から4人ぐらいのグループばかり。
開店時には50人以上の行列になっていました。


そこで目的をそっちのけでその行列の後をつけてみました。
するとほとんどが飲食フロアにある巨大なバイキングレストランに入っていきました。
30分くらいであっという間に満席。
すごい活気です!


フレンチ・イタリアンを中心にして中華や和食までそろえた圧倒的な品揃え。
白を基調にしたとてもスタイリッシュな演出。
オープンキッチンによって溢れるシズル感。


お客様を見ているとお皿にはほんの少しずつ、でもほぼ全品を載せています。
その年齢層の女性ですから沢山の量は食べられません。
でも色んな種類を食べたいのです。


そして食事はそこそこにして、次に戻ってきた時はデザートを山盛り。
この店のデザートの品揃えは約20種類。
十分にデザートバイキング専門店をやっていけるくらい。
そして飲み放題のコーヒーとともにおばちゃん達は語らい続ける・・・


価格は70分制で1890円と決して安くはないのですが、
それでも開店30分も前から雨の中を並ぶ超繁盛店でした。




このお客さんたちにとって、この店での食事は“社交の場”なのです。
この価格は「生理的欲求の食事」としては高くても、「親和欲求の食事」としては高くなく、
会話の流れを聞いていると、70分という時間もちょうど良い時間なのだとわかります。


ちなみに他の飲食店はごく一部を除いてガラガラです。


ここで分かることは

やはり商売は「誰に売るか」で決まるということ。
それが決まれば商品の品揃えが決まります。
価格設定が決まります。
サービス内容が決まります。

あとはどうやってPRするかです。


都会の超一等地。
当然、家賃も高い。
土日をいっぱいにしても平日にお客さんを呼べないと経営は成り立ちません。
そこで平日の昼にもっとも行動的な「おばちゃん」を主力客層にして、
その客層にあわせた商品を作り出した。

「おばちゃん」という客層の一般的な与件キーワードとしては
集団行動をとる、調和を重視する、少食だが沢山の種類を食べたい、甘いもの好き、喋る、ベタベタしすぎない、そしてお金はある。
これらにぴったり合わせ、平日の11時半に100席を満席にしています。



これが飲食店というよりも、全ての商売において最も重要な成功要因です。




このあと駅前の古い地下飲食街に行くと、かつ丼専門店にずらりと「おっちゃん」の行列。
こちらは平均単価700円のかつ丼で50人並んでいます。
役割分担が明確になっているため注文して3分ほどで提供され、会計は事前に券売機で行います。
1人あたり滞在時間は約10分。50人並んでいても20分も待てば食べられます。


100種類の品揃えをするスローフードの店は1時間当たり1890円×100人×0.8回転。
単品勝負のファストフードの店は1時間当たり700円×30人×5回転。
家賃・人件費とも10倍以上は違う対極の商売。


誰に売るかを間違えずに、それに合わせたシステム化が図れれば、
繁盛店になれることを思い知らされた1日でした。
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by tonkatsuyutaka | 2007-07-12 09:05
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