コンサルタント会社を経て、とんかつ豊かを起業した飲食マーケッター小林孝志のブログ

第8話 一生懸命と真剣は違う
昨年9月のこと、阪大生から応募がありました。
現役で経済学部に入学した1回生。
中学、高校と陸上部で走り幅跳びをやっていて県大会レベルの実力者。
しかも副キャプテンを務めていたらしい。

身長は177センチあってすらっとした今時のカッコいいスタイルで
ファッションセンスも悪くない。
頭が良くて運動ができて見栄えも良い。
学生アルバイトの条件で他に何を望む?
運が向いてきた~。


が、世の中そうは上手くいきません・・・
この男、とにかく覚えが悪い上にトロいのです。
45分を基準値にしている営業終了後の片付け。
2回マンツーマン研修をやって、初めて一人でやったとき、
2時間20分かかるという今も破られない最長記録をたたき出してくれました・・・
「初日はこんなもんだよ・・・」引きつりながらも励ますものの
その翌日もやっと1時間半。
そしてその次も・・・


走り幅跳びで6メートルを軽く飛ぶ男。
阪大に現役で合格する男。
混乱する立命館2浪入学、ギリギリ卒業の私。


彼はサボっているわけではありません。
むしろ一生懸命です。
観察すると動きが遅いのではなく、
全ての行動の前にワンクッション入るのです。
さらによく見ると
頭で確認してから動き始めていたのです。


そのことを指摘をしました。
しかし、それでもなかなか上手く行かない。
ついに私は声を荒げて怒鳴ってしまいました。

するとむかつくような顔ではなく、落ち込んでしまうような表情をしたのです。
それもビックリするような感じで・・・


そこで気付きました。
彼は怒られたことがないんじゃないか?
今までの人生で彼はトロイと言われたことはないんじゃないか?
めちゃ勉強ができて、めちゃスポーツができる。
文句なしに優秀な学生。
親も教師も声を荒げて怒る理由も必要も一切ないはず。


さらにこう推測しました。
きっと彼は真剣に勉強しなくても良い点が取れ、
真剣に練習しなくても遠くに跳べたのだ、と。
もちろん努力したつもりでいる。
でももともと努力とか忍耐が嫌いな人間の努力なんてたかが知れている。
きっともっと勉強して、もっと専門的に練習すれば、
東大に行けたかもしれないし、インターハイにでたかもしれない。
軽く、浅くやっても何でも人よりできちゃう人間なのだろうと。
物事に対して真剣に取り組むということをやったことがない人間なんだと。


こういうタイプは中学生時代にはモテるが、高校生になるとモテない。
無論、社会では全く通用しない。
でも過去にモテたこともあるし、やればもっとできると思い込んでいるから、本気でやらないのだ。
そうして枯れていく才能とがむしゃら心・・・


推測したから本人に確認しました。
するとその通りですと。
何でそんなん分かるんですか?と。


俺もそうだったから分かるんだよ。
40を過ぎてやっと自分の事を客観的に見ることが出来るようになりました。


周りのスタッフが「あそこまで怒鳴らなくても」というくらい
ボロクソにいわれても、それでも彼は真剣に食らい付いて来ました。



そんなこんなでもうすぐ10ヶ月。


今は、
ありえないくらいの初動速度で、そして正確に作業をする男。
ラストオーダーからわずか20分で片付け終了という最短記録を作った男。
狭いキッチンを往復するほんの僅かな時間に3つも4つも手を出しながら歩く男。
人の行動を見て1歩先を見極めてアクションを起こせる男。
ぶっきらぼうながら後輩のフォローをさりげなくできる男。
周りの状況を適確に判断し、空気が読める男。

でも時々やるちっちゃなチョンボがお茶目に見える男。


昨対比でいうと250%くらい信頼感は伸びた。

でもまた真剣勝負をやめると元通りだよ。
真剣勝負をするためには闘争心をもつことだ。
そのためには腹の底からデカイ声を出すことだ。


そうしてリーダーシップを発揮できれば

必ず今の10倍モテるよ。
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by tonkatsuyutaka | 2007-06-06 11:28
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